黒字10億円→△120億円。開発損失45億円!
スクウェア・エニックス・ホールディングス(スクエニHD)が、5月12日に、今期の業績予想の修正を発表した。それによると、黒字10億円見込みだったものを一転、連結最終損益は120億円の赤字に転落するという。
開発中止損は45億円で、3月11日に起きた関東・東北大震災での損壊したアミューズメント施設の復旧費用、営業期間停止中の損失などの災害による「特別損失」を6億円計上した。同期の特別損失総額は160億円になる見込み。
スクエニの失敗として大きいのはFF14であるが、その他の関連商品も、ヒットを飛ばしているのはドラクエ関連シリーズとFF関連シリーズぐらいである。過去のブランド作品に頼り切っている状況であるのは言うまでもない。
Wii「ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエスト1・2・3」を9月に発売予定残念ながら、今のスクエニの評価は下げざるを得ない現状であるのだが、この業績修正の他にもう一つ発表されたのが任天堂Wiiで開発している「ドラゴンクエスト1~3」である。ドラクエシリーズ25周年記念作品で、ロトシリーズ3部作であるが、内容はファミコン版とスーパーファミコン版の3作品をそのまま移植したというもののようだ。
記念特典が付くそうなので、その内容が気になるところだが、ゲーム内容そのものが気になるものではない。RPGファンならドラクエシリーズを一度や二度はプレイしたことがあるだろうし、それをWiiでプレイしたいなら、バーチャルコンソールで出せばいいわけだ。わざわざまとめた理由もよくわからない。リメイクでもないわけだ。
Point of view
今、スクエニには新作ブランド開拓に挑戦という姿勢が微塵も感じられない。過去のブランドは、失敗を怖れずに多くの挑戦をしたからこそ、様々な名作が世に生み出された。
最近の安易なリメイク商法ばかりでは、ファンには飽きられてしまうことだろう。FF14の時に言われたが、遊べるゲームの質にはなっていない。このようなことをユーザーが考えてしまうことこそ、今の赤字修正に繋がっている。
だが、これぞスクエニというゲームを多くのファンは期待している。そして、スクエニのブランドといえばRPG作品なのだ。また、日本人の好きなジャンルの1位もRPGなのはここ何十年も変わらない。日本のゲーム市場は成熟期を迎えている。
半面、海外のゲーム市場は拡大するばかり。さらに言えば、海外ゲームメーカーは非常に手強い。日本人にはあまり知られていないが、売れるタイトルの売上本数が劇的に異なる。
ゲーム市場の日本での拡大はかなり難しい。だが、ゲームの面白さは万国共通なのだ。ドラクエ9も海外で出荷本数530万本を突破している。また、ゲーム市場には一定数のユーザーが存在する。
ニッチ産業でも、規模が小さいゲームメーカーでも、ファン層を大事にすれば業績は拡大できる。特に最近の女性向けに造られたゲーム市場が拡大している現状を見れば、ゲームとは決して開発費の優劣だけで決まるものではないことを考えさせられる。
さらに言えば、追加アイテム、キャラ、シナリオのダウンロード販売なども上手に利用すれば、確実な収入源になる。遊んで面白ければ追加シナリオだって遊びたくなるものだ。
大事なのは一定のファン層を大切にしながら、新しいファン層を造っていく。それが出来ている「アトリエシリーズ」が最近非常に元気なのは言うまでもない。また、新作ブランドに常時挑戦しているのがアトラスであり、キャサリンもかなり売れた。新作ブランドだから売れないというわけでは決してない。
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